Krassimira Stoyanova (クラッシミラ ストヤノヴァ)は1962ブルガリア生まれのソプラノ
喋り声からは低声歌手を思わせる響きだが、高音の繊細さは実に見事。
中音域にやや癖があるが、これはブルガリア人歌手(特に女声)の特徴でもあると思っている。
ちょっとここでブルガリア人らしい癖のある響きを聴き比べて頂きたい
まずはストヤノヴァ
曲はグノー ファウストからIl était un roi de Thulé(トゥーレの王・・・宝石の歌)
vesselina kasarova(ベッセリーナ カサロヴァ)
一番ブルガリアで有名な歌手かもしれませんね。
喋ってる声は恐らくストヤコヴァより軽いと思います。
Nadia Krasteva(ナディア クラステヴァ)
一番癖が少ないのがストヤノヴァでしょうが、それでも低音域~中音域にかけて、
母音の響きが統一できていない。
この時々耳につく独特の響き、
籠っているともちょっと違って、ポジションは深いのに響きが少し平たくなる感じは
プラスよりはマイナスに作用するのだろうが、自分達の癖をよく理解して表現として昇華しているとも言える
彼女達は強い個性で今の地位を築いてきたのは事実だ。
ストヤノヴァについて
演奏の映像ではないが、マスタークラスの映像があったので紹介しておこう
本人はドイツ語で指導をしているが、英語の字幕があるので何を言っているかはなんとなくでも伝わるだろう。
個人的に重要と思う部分を取り出すと。
ストヤノヴァ「私の声がどう聴こえる?」
生徒「スーパートーン」
ストヤノヴァ「違う違う、響いている場所を解析して 響く場所はどこ?」
生徒は頭を指す。
その後にストヤノヴァが言ってることが大事
「そこは正解ではありません。」
「(軽く噛むようなしぐさをしながら)全て(喉~口内を)開く筋肉が必要です」
「私達の楽器は声を絞り出すのではなく、筋肉と空間が必要なのです」
まったく鼻腔共鳴だの、頭のてっぺんに響かせるだの、後ろから息を回すだの言ってませんね。
最近は有益なマスタークラスの映像を手軽に見れる時代になりましたので、
歌を勉強している方は、自分の先生と一流歌手の言葉を比較することもできるようになりました。
さてストヤノヴァ自身の演奏に話を戻すと
この人は声の力ではなく表現でドラマティックな役を作るタイプの歌手です。
ジョルダーニ アンドレア シェニエ La mamma morta(亡くなった母を)
こういうアリアを声でゴリ押しする歌手も多い訳だが、
この人は弱音を中心に、テンポも変に揺らさず、てともシンプルに歌っているのが印象的。
言葉による表現を試みた結果ということだろう。
マスタークラスの映像でも言っていた通り、彼女自身が他人の演奏に影響されず、
常に自分の表現を追求していることがわかります。
ただ、残念なことに、ブルガリア人の響きは全体的に歌詞が聞き取り辛い。。。
チャイコフスキー エフゲニー オネーギン(タチアナの手紙の場)
https://www.youtube.com/watch?v=hI1BkF1fWNY
こういう響きはロシア語との相性が良いように感じます。
ロシア人歌手の多くも発音が奥ですからね。
言語の特徴というのはどうしても出てしまう。
最後は、リヒャルト シュトラウス 4つの最後の歌
ドイツ語の響きは、奥に籠る癖が殆ど出ずに、特に高音はとっても美しい響きですね。
誠実に曲と向き合っていることがよく分かる表現です。
CD
アントネンコとのオテッロ。
アントネンコも良い歌手であるが少少棒歌いなとこがあって、表現という面ではまだまだ。
プッチーニの歌曲集という珍しいものもある。
こちらはチェコ ロシアもののアリア集
とても素晴らしい演奏ということで評価も高い
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